2025 SFL第13-15戦富士スピードウェイ(9/6-7)レポート

Super Formula Lights

野村選手、参戦初年度でチャンピオンに輝く
マスタークラスは3人が星を分け合う

B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、9月6〜7日、富士スピードウェイで行われた、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第13~15戦に参戦し、野村勇斗選手が2勝をあげて、最終大会を待たずに2025年のチャンピオンに輝きました。野村選手はルーキーとして、参戦初年度でのタイトル獲得となりました。
マスタークラスは、3人が1勝ずつを上げ、チャンピオン決定は最終もてぎ大会に持ち越されました。

菅生大会から2週続けての開催となった本大会。前日は台風による豪雨に見舞われましたが、土曜、日曜は、上空にやや雲は多いものの、台風一過のレース日和となりました。

■第13、14戦予選(9月6日(土)午前9時5分〜9時35分)
第13戦の予選。野村選手は、3周のウォームアップ後のアタックで、トップタイムとなる1分33秒082をマーク。これを破る者は現れず、岡山大会から続く自身の連続ポール記録を更新しました。第14戦予選は、路面コンディションに合わせきれず、最後に小林選手に逆転されて、2番手になりましたが、タイトル獲得に向け、両レースともフロントローからのスタートを確保しました。
ザック・デビッド選手、ケイレン・フレデリック選手、卜部和久選手は、タイムが伸びず、第13戦、第14戦ともに後方グリッドからのスタートになりました。

ドライバー Rd13予選タイム(順位) Rd14予選タイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 1分34秒017( 9) 1分33秒912( 8) 0( 5)
50号車 野村 勇斗 1分33秒082( 1) 1分33秒482( 2) 1(96)
51号車 Z.デビッド 1分33秒949( 7) 1分33秒969( 9) 0(22)
58号車 K.フレデリック 1分34秒009( 8) 1分33秒889( 7) 0(34)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:35度

■第13戦決勝(9月6日(土)午後1時25分~21周)
フライング気味のスタートでトップに出た小林選手を、野村選手と佐野選手が追う形で、レースは幕を開けました。1周目のダンロップコーナーで、佐野選手が小林選手に接触し、小林選手がスピン。直後にいた野村選手は、コース外に逃げるしかなく、6位まで順位を落としてしまいました。
諦めずに攻め続ける野村選手は、2周目5位、3周目4位、6周目3位と、順位を挽回し、13周目には2位にポジションアップ。この時点でトップの佐野選手との差は5秒ありましたが、佐野選手には、接触のペナルティとしてプラス5秒が課されており、実質両者が僅差で競り合う状況になりました。
しかし、15周目にセーフティカーが入ったことで、形勢は一気に野村選手に傾き、2番手でチェッカーを受けた野村選手が、運も味方につけて優勝。自身の連勝記録を8に伸ばすとともに、タイトル争いの主導権を握ることになりました。
デビッド選手は、1周目に順位を上げ6位、終盤順位を落としたフレデリック選手は8位、卜部選手は9位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 9位 1分35秒921( 9/13) 0(  5)
50号車 野村 勇斗 1位 1分35秒086( 3/13) 10(106)
51号車 Z.デビッド 6位 1分35秒642( 8/13) 1( 23)
58号車 K.フレデリック 8位 1分35秒611( 7/13) 0( 34)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:36度

■第14戦決勝(9月7日(日)午前9時05分~15周)
2番グリッドの野村選手は、スタートでホイールスピンをして遅れてしまい、3位で1周目を終えました。野村選手は、冷静さを保ちながら、前を行く三井選手にプレッシャーを掛け続けますが、チャンスは訪れず3位でフィニッシュ。連勝は8で途切れましたが、タイトル獲得に向け、確実にポイントを積み上げました。
デビッド選手はスタートで出遅れましたが、挽回して7位、1周目に接触で遅れたフレデリック選手は9位、接触のペナルティを受けた卜部選手は10位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
01号車 卜部 和久 10位 1分35秒850( 9/13) 0(  5)
50号車 野村 勇斗 3位 1分34秒684( 3/13) 5(111)
51号車 Z.デビッド 7位 1分35秒799( 8/13) 0( 23)
58号車 K.フレデリック 9位 1分35秒287( 7/13) 0( 34)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:34度

■第15戦決勝(9月7日(日)午後1時05分~15周)
今大会2度目のポールからスタートを決めた野村選手は、1周目、ニュータイヤを履く古谷選手に攻め込まれる場面もありましたが、2周目以降は1秒弱の差を保ち、古谷選手とともに後続を引き離していきました。野村選手は、その後も背後からのプレッシャーに動じることなく、今季9勝目のチェッカーを受けました。
佐野選手が4位となったことで、ルーキー同士の一騎討ちとなったタイトル争いは決着。野村選手が、最終戦を待たずにチャンピオンを決めました。
好スタートで順位を上げたデビッド選手、フレデリック選手は5位、6位に入り、ポイントを獲得しました。卜部選手はペースが上がらず9位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 9位 1分36秒096(10/13) 0(  5)
50号車 野村 勇斗 1位 1分34秒727( 2/13) 10(121)
51号車 Z.デビッド 5位 1分35秒453( 7/13) 2( 25)
58号車 K.フレデリック 6位 1分35秒757( 9/13) 1( 35)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:36度

岡山大会から安定した速さを発揮し続けた野村選手は、最終戦までもつれると思われたタイトル争いを制し、ルーキーながら見事チャンピオンに輝きました。これで、チームは3年連続のドライバーズタイトル獲得となりました。残るチームタイトルは、13ポイントのリードで最終大会を迎えます。この流れで、昨シーズン果たせなかった両タイトル獲得に向け、もてぎ大会も万全の準備で臨みます。

■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「まったく良いところなく終わってしまった週末でした。ずっとグリップ不足に悩まされました。ニュータイヤのときもそうですが、特にユーズドでのタイムの落ち込みが、他車に比べ顕著でした。とにかく、全体的に見直すことが必要です。
次のもてぎ大会までは時間がありますので、コーチをしていただいている、加藤さん、関口さんのアドバイスも受けながら、自分にできることに全力で取り組み、しっかり準備をしたいと思います」

■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「最後のレースは、セクター3でミスしないように心掛けました。チームからも『ミスなく頑張れ』と無線で鼓舞され、チェッカー後の1コーナーでチャンピオンを獲ったことを知らされました。
今シーズン当初は、苦戦することが多かったですが、必勝態勢で臨んだ岡山大会で3連勝できたことで、セッションの進め方や、セットアップについての理解が深まり、レースウィークのルーティンができたように思います。それ以降は、本当に良い流れでレースに臨むことができました。チーム、HRCをはじめ、サポートしていただいた方や、応援してくださったファンの方々に感謝です。
タイトルは決まりましたが、最終大会もいつも通り平常心で臨みます。優勝で締めくくって、良い形で来年に繋げられればと思います」

■50号車監督 武藤英紀コメント
「台風の影響で、予定されていた練習走行がキャンセルされ、限られた時間での調整になりました。ただ、持ち込みのセットが非常に良く、予選はポールと2番手。チャンピオンシップを考えれば、十分な結果でした。
決勝は、優勝、3位、そして、優勝でチャンピオンを決めましたが、今大会で決まるとは思っていませんでしたので、心の準備ができていませんでした。逆に、チームの皆が力むことなく、ノープレッシャーで臨めましたので、それが良かったように思います。
参戦1年目でのタイトル獲得は、本当に素晴らしい結果です。シーズン序盤のミスを克服して、連勝で一気に流れを引き寄せました。野村選手の才能を感じますね。監督として関わって3年連続でのチャンピオンですから、チームには本当に感謝しています」

■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「初めての富士スピードウェイでしたし、予選前の練習走行が、天候の影響でほとんどキャンセルされてしまったことを考えると、悪くない週末だったと思います。予選前の走行時間が少なかったことが、自分には不利に働きました。そのため、レースは後方グリッドからのスタートとなりましたが、チームと協力して、2レースはポイント圏内でフィニッシュすることができました。
トップ争いをするには、まだスピードがかなり不足しています。最終大会では、自分の持つポテンシャルを最大限引き出せるようにしたいと思います」

■58号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
「SUGO大会に続いて、非常に厳しい週末でした。金曜日夕方の練習走行では、走り始めに速さを示すことができましたが、予選とレースではペースがなく苦しみました。さらに、レース1では、何度かアクシデントに巻き込まれて順位を落としてしまったため、レース3のスタートが後方グリッドになってしまいました。最終レースでは何とか6位でフィニッシュし、ポイントを獲得しましたが、スピードは十分とは言えない状況です。
最終大会は、気温が下がりますので、タイヤを適切な温度域にすることが課題になると思います。悪い流れを断ち切り、スピードを取り戻せるよう頑張ります」

マスタークラス

■第13、14戦予選
予選前の朝に行われた練習走行では、今田選手が清水選手、DRAGON選手を引き離していましたが、予選が始まると、今田選手はタイムが伸びずに1分36秒020止まり。一方、清水選手は早々に1分35秒台に入れると1分35秒273までタイムを削り、2位のDRAGON選手に0.5秒差をつけてクラスポールを獲得しました。
第14戦も、最後にコースインした清水選手が、先にタイムを出していた今田選手、DRAGON選手を逆転して、連続クラスポールを決めました。

ドライバー Rd13予選タイム(順位) Rd14予選タイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 1分36秒020(M3) 1分35秒998(M2) 0(58)
8号車 清水康弘 1分35秒273(M1) 1分35秒524(M1) 1+1(98)
30号車 DRAGON 1分35秒833(M2) 1分36秒003(M3) 0(72)

■第13戦決勝(21周)
序盤は三者が連なっていましたが、レース中盤からは、清水選手と今田選手がやや抜け出して、トップを競い合いました。しかし、15周目のダンロップコーナーで、清水選手のクルマに駆動系トラブルが発生し、コース上にストップしてしまいました。
その後は、今田選手がDRAGON選手を先行し、3秒差をつけてチェッカーとなりますが、今田選手にはフライングスタートで、プラス5秒のペナルティが出ており、DRAGON選手が今季2勝目を飾りました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M2位(総合12位) 1分37秒348(M2) 7(65)
8号車 清水康弘 DNF(    –     ) 1分37秒261(M1) 0(98)
30号車 DRAGON M1位(総合10位) 1分37秒351(M3) 10(82)

■第14戦決勝(15周)
クラスポールスタートの清水選手はペースが上がらず、2周目の1コーナーで今田選手が逆転。トップの座を明け渡した清水選手は、6周目には、スタートでギヤが抜けて出遅れていたDRAGON選手にも攻略され3位へドロップ。そこから3車は、僅差で連なって周回を重ねますが、終盤になると、今田選手が少しずつ差を開いてフィニッシュ。今季6勝目を飾りました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合11位) 1分37秒781(M3) 10( 75)
8号車 清水康弘 M3位(総合13位) 1分37秒551(M2) 5(103)
30号車 DRAGON M2位(総合12位) 1分37秒106(M1) 7( 89)

■第15戦決勝(15周)
序盤は、今田、DRAGON、清水選手の順で、三つ巴の戦いを見せましたが、4周目にそれまで3位だった清水選手が一気にトップに出ました。清水選手を追っていたDRAGON選手は、周回を重ねる度にタイヤが厳しくなり、7周目にペースダウン。10周目に今田選手が2位に上がって、清水選手との差を詰めていきますが、0.7秒差まで迫ったところでチェッカーとなりました。
この結果、今大会は、第13戦DRAGON選手、第14戦今田選手、第15戦清水選手と3人が1勝ずつあげることとなり、清水選手がポイントリーダーの座を保ったまま、最終大会を迎えることとなりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M2位(総合11位) 1分37秒662(M2) 7( 82)
8号車 清水康弘 M1位(総合10位) 1分37秒789(M3) 10(113)
30号車 DRAGON M3位(総合12位) 1分37秒304(M1) 5( 94)

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
「最後のレースは、清水選手にあと少し届きませんでした。悔しいですね。序盤はトップでしたが、逃げる立場になると、自分でも意識しないうちに守りに入ってしまうようです。追う立場になるとスイッチが入ってペースも上がるのですが、トップにいるときこそ、攻めのモードに入れなければいけないですね。それが足りなかったということだと思います。
この週末は仲良く1勝ずつという結果になりましたが、最終大会までには、FIA-F4やフェラーリ・チャレンジもありますし、得意なコースが続きますので、すべて勝って今シーズンを締めくくりたいと思います」

■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「今週末は限られた走行時間でのマシン作りが求められる中で、NEWタイヤのグリップに助けられてダブルPPを獲得できましたが、決勝では、駆動系のトラブルやペースに苦しみ結果に繋がりませんでした。最後の第15戦では再度セットアップを見直してマシンバランスが良化した結果、僅差で勝てましたが決して楽な展開ではありませんでした。
また、菅生大会から2週連続開催という中で、SFライツのマシンを精度高く自由に操るためには、更なる体力トレーニングが必要と痛感しました。
次戦はシーズンを締めくくる大事な大会になります。しっかりと準備して自分の最大限を出し切りたいです」

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「今週末は、タナボタで1勝できましたが、クルマ的にはまったく良いところがなく、SUGO大会からハマっています。とにかく、7ラップ過ぎると、突然タイヤのグリップがなくなってしまうという状態でした。恐らくセッティングの方向性が違っていて、タイヤに対する攻撃性が高くなっているのだと思います。
最終大会のもてぎは、今回とはまったくキャラクターの違うコースですので、何とか今年の集大成として、良い結果で締めくくりたいと思います」



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