2025 SFL第10-12,6戦スポーツランドSUGO(8/29-31) レポート

Super Formula Lights

野村選手が全レースを制し、ポイントリーダーに
マスタークラスは今田選手が4連勝

B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、8月29〜31日、スポーツランドSUGOで行われた、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第10~12戦および第6戦(延期レース)に参戦し、野村勇斗選手が4戦すべてをポール・トゥ・ウィンで制する完勝で、タイトル争いでもトップに立ちました。
マスタークラスは、今田信宏選手が抜き出た速さを見せ、4連勝を飾りました。

■第10、11戦予選(8月29日(金)午後2時〜2時30分)
猛暑の合間のやや過ごしやすい天候となった予選日。今大会は、延期レースも含めて4レース行われるため、金曜日午後に第10戦、第11戦の予選が行われました。
この予選で、他を圧倒する速さを見せたのは、練習走行から好調の野村選手。第10戦予選では、1分12秒台を連発し、従来のコースレコードを破る1分12秒568をマーク。2位となったデビッド選手を、SFライツでは大差といえる0.3秒引き離して、ポールポジション(PP)を獲得。第11戦予選ではさらにタイムを上げ、1分12秒554を叩き出して、2位の佐野選手にやはり0.3秒差をつけて、連続PPを決めました。PPポイントを得たことで、野村選手はこの時点でポイントリーダーとなりました。
デビッド選手は大健闘の2位と3位、ケイレン・フレデリック選手は僅差の4、5位、卜部選手はマシンバランスに苦しみ、8、9位でした。

ドライバー Rd10予選タイム(順位) Rd11予選タイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 1分13秒195( 8) 1分13秒372( 9) 0(03)
50号車 野村 勇斗 1分12秒568( 1) 1分12秒554( 1) 1+1(55)
51号車 Z.デビッド 1分12秒869( 2) 1分12秒856( 3) 0(17)
58号車 K.フレデリック 1分12秒912( 4) 1分12秒916( 5) 0(32)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:33度、路面温度:42度

■第10戦決勝(8月30日(土)午前10時35分~26周)
「これ以上ないほど決まった」という最高のスタートを決めた野村選手は、1周目からプッシュし、6周目に2秒、10周目には2.5秒と僅かずつ、2位佐野選手との差を開いていきました。10周目以降は、ラップタイムをきっちり1分14秒5で揃えてペースをコントロール。後続を寄せつけない走りで、26周を走り切って、岡山大会から通算で4連勝となるチェッカーを受けました。
2番グリッドスタートのデビッド選手は、スタートで出遅れてしまい4位、フレデリック選手も序盤で遅れ6位。卜部選手は8位でフィニッシュしました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 8位 1分14秒621( 7/13) 0(03)
50号車 野村 勇斗 1位 1分14秒088( 1/13) 10(65)
51号車 Z.デビッド 4位 1分14秒399( 3/13) 3(20)
58号車 K.フレデリック 6位 1分14秒637( 8/13) 1(33)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:31度、路面温度:40度

■第11戦決勝(8月30日(土)午後3時00分~19周)
野村選手は、スタート直後の1コーナーで佐野選手に迫られますが、そこを凌いてトップを守ると、序盤で逃げの態勢を築こうとしました。しかし、後方で、デビッド選手とマッソン選手が接触。マッソン選手は4コーナーでストップし、デビッド選手はピットに戻ってリタイアとなりました。このアクシデントで、1周目からセーフティカー(SC)が導入されました。
SC明けの再スタートでもトップを守った野村選手は、佐野選手に1秒強のリードを保ったまま周回を重ね、第10戦に続くポール・トゥ・ウィン。連勝記録を5に伸ばしました。卜部選手は6位で貴重な1ポイントを上げ、ケイレン選手は序盤にポジションを落として7位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 6位 1分14秒841( 7/13) 1( 4)
50号車 野村 勇斗 1位 1分14秒025( 2/13) 10(75)
51号車 Z.デビッド DNF –          (  –  ) 0(20)
58号車 K.フレデリック 7位 1分14秒697( 6/13) 0(33)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:35度、路面温度:46度

■第12戦決勝(8月31日(日)午前11時20分~19周)
レース序盤は、好スタートを決めた野村選手が逃げ、8周目までに2.4秒のギャップを築きました。しかし、9周目以降は、2位の佐野選手が野村選手との差を少しずつ詰めていきました。その差は、12周目に1.3秒、15周目には0.8秒にまで縮まりますが、野村選手は冷静に佐野選手の動きを把握しながらレースを進め、佐野選手を従える形でチェッカーを受けました。
デビッド選手は5位、フレデリック選手は6位でポイントを獲得。卜部選手はスタート後の競り合いで接触し、ノーズ交換をしたため、13位でゴールしました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 13位 1分14秒303( 7/13) 0( 4)
50号車 野村 勇斗 1位 1分13秒789( 1/13) 10(85)
51号車 Z.デビッド 5位 1分14秒299( 6/13) 2(22)
58号車 K.フレデリック 6位 1分14秒477( 9/13) 1(34)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:32度

■第6戦決勝(8月31日(日)午後3時20分~19周)
この週末4度目のスタートでもトップを守った野村選手と、唯一野村選手を脅かす存在の佐野選手は、このレースでも僅差の攻防を見せました。ここまでの3レースは、序盤に野村選手がギャップを築く展開でしたが、今回は1秒と離れることなく進みました。
背後から迫られていた野村選手ですが、「向かい風の影響でスリップが効いていたので、SPコーナーの立ち上がりは丁寧にいきました」と冷静に分析。途中、佐野選手にはフライングの裁定が出て、プラス5秒のペナルティが課されたこともあって、余裕を持った野村選手が最後はやや差を広げて、今大会、無傷の4連勝となるチェッカーを受けました。
卜部選手はグリッドポジションを守って6位でポイント獲得。12番グリッドから追い上げたデビッド選手は8位、1周目に遅れてしまったフレデリック選手は10位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計) Rank
1号車 卜部 和久 6位 1分14秒654( 8/13) 1( 5) 9
50号車 野村 勇斗 1位 1分13秒924( 2/13) 10(95) 1
51号車 Z.デビッド 8位 1分14秒188( 3/13) 0(22) 5
58号車 K.フレデリック 10位 1分14秒694( 9/13) 0(34) 4
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:25度、路面温度:30度

今大会を4連勝、前大会から通算して7連勝となるレースを、すべてポール・トゥ・ウィンで終えた野村選手は、ポイントを95まで伸ばし、シリーズ首位に立ちました。チームポイントでもトップに立ちましたので、昨シーズン果たせなかった両タイトルの獲得に向け、残る2大会6レースも全力で臨みます。

■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「今週末は、毎レース、ポイント圏内で走れるレースになると感じていたのですが、ちょっと欲をかいてセット変更したことで、バランスが崩れてしまいました。でも、いろいろ悩んだことでセットアップの方向性もかなり見えてきましたし、次に向けて手応えを掴むことができた大会でした。富士大会では、まずは予選のポジションを上げるよう頑張ります」

■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「今週末は、走り出しから調子が良く、逆にそれがいつもと違うので、このままマージンを維持できるのかちょっと不安になりました。でも、練習走行でチームと良いマシンを造ることができ、結果的に予選、決勝とすべてトップで終えることができ、不安は杞憂に終わって良かったです。来週末もレースが続きますので、ひとまず喜びに浸って、富士大会に臨みたいと思います」

■50号車監督 武藤英紀コメント
「すべてポール・トゥ・ウィンを決めることができましたし、週末を通してトップを一度も譲らなかったので、本当に強くなったと感じています。野村選手は、F4以外で菅生を走ったことがなかったので、練習走行では徐々にペースを上げていこうと思っていましたが、いきなり速かったですし、クルマも走り出しからほぼ完璧で、順調すぎるくらい順調でした。
野村選手は、岡山大会での初優勝から、走るたびにアップデートしている感じですね。元々ポテンシャルは高かったので、スタートを含め走り全体を微修正することで、着実に強さを増しています。次の富士も楽しみです」

■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「今週末は、ペースもあり、予選では、両レースともトップ3でしたが、レースでは、それを結果に結びつけられませんでした。少しトラブルもありましたので、次戦の富士に向けて、しっかりと課題を洗い出し、改善に取り組みたいと思います。
富士スピードウェイは、まだ行ったことがありませんが、新たな挑戦にワクワクしています。次こそは、もう少し運が味方してくれることを願っています」

■58号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
「非常に悔しい週末となりました。練習走行では良いペースがあり、ポールポジションを狙えるだけのポテンシャルも感じていました。しかし予選では、その速さを発揮することができませんでした。さらに決勝レースでは、いくつかの小さなミスが重なり、状況をさらに悪化させてしまいました。来週の富士では、しっかりと修正し、良い結果を出せるよう頑張ります」

マスタークラス

■第10、11戦予選
第10戦は、練習走行から好調の今田選手が、十分なウォームアップをした後のアタックで1分14秒936をマーク。清水選手、DRAGON選手を突き放して、クラスポールを獲得しました。2位には、トラブルで午前中の練習走行を走れなかった、清水選手が入りました。
第11戦は、好調の今田選手に思わぬ落とし穴が。コースインに少し手間取り焦りが出たのか、ピットロード1コーナーアウト側のガードレールに、フロントウィングをヒットするミスを犯してしまいました。ウィングがぐらつき、バランスを失ったマシンではタイムは出せず、清水選手にクラスポールを譲ることになりました。

ドライバー Rd10予選タイム(順位) Rd11予選タイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 1分14秒936(M1) 1分16秒121(M3) 1(18)
8号車 清水康弘 1分15秒556(M2) 1分15秒457(M1) 1(70)
30号車 DRAGON 1分15秒640(M3) 1分15秒835(M2) 0(50)

■第10戦決勝(26周)
「クルマが決まっていた」という今田選手が、スタートからDRAGON選手を引き離しにかかりました。その差は10周目に5秒、20周目には10秒にまで開き、独走状態に持ち込んだ今田選手が、今季2勝目を飾りました。
今田選手から大きく遅れて2位を走行していたDRAGON選手は、終盤の23周目に「集中力を欠いた」と4コーナーで痛恨のスピン。変更したギアが合わずに苦戦していた清水選手が2位に入りました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合11位) 1分16秒394(M1) 10(28)
8号車 清水康弘 M2位(総合12位) 1分17秒011(M3) 7(77)
30号車 DRAGON M3位(総合13位) 1分16秒584(M2) 5(55)

■第11戦決勝(19周)
ロケットスタートを決めたかに見えた清水選手ですが、レース中にフライングの裁定がくだり、レース結果にプラス10秒のペナルティが課されました。それでもトップを走っていた清水選手ですが、ハイペースで追い上げてきた今田選手が「清水選手のペナルティは分かっていましたが、トップでチェッカーを受けようと思いました」と16周目の1コーナーで逆転。そのまま連勝のチェッカーを受けました。2位はDRAGON選手、スタートのミスが悔やまれる清水選手が3位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合09位) 1分16秒320(M1) 10(38)
8号車 清水康弘 M3位(総合11位) 1分17秒246(M2) 5(82)
30号車 DRAGON M2位(総合10位) 1分17秒322(M3) 7(62)

■第12戦決勝(19周)
スタートを決めた今田選手が、清水選手との差を着実に開いていき、レース折り返しを過ぎた10周目には6秒もの差を築きました。3位DRAGON選手も清水選手に引き離され、縦に長い展開となりました。
トップ今田選手は、終盤になって1分16秒台前半のタイムを立て続けに叩き出し、18周目にベストラップをマークするという快走を見せて独走優勝。大きく水を開けられた清水選手、さらに遅れてDRAGON選手の順でフィニッシュしました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合10位) 1分16秒162(M1) 10(48)
8号車 清水康弘 M2位(総合11位) 1分17秒033(M3) 7(89)
30号車 DRAGON M3位(総合12位) 1分16秒863(M2) 5(67)

■第6戦決勝(19周)
今田選手がトップを守り、清水選手、DRAGON選手の順で連なり、レース前半は僅差の攻防を見せました。しかし、8周目からは徐々に今田選手が抜け出し、差を開いてフィニッシュ。清水選手とDRAGON選手は、最後まで競り合いましたが、順位変動はなく、そのままゴールとなりました。
今田選手は、この勝利で今大会負けなしの4連勝。今シーズンは、他のレースとのバッティングで12戦中6戦しか参戦していない今田選手ですが、その勝率は脅威の8割3分(6戦5勝)を誇っています。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合11位) 1分16秒445(M1) 10(58)
8号車 清水康弘 M2位(総合12位) 1分16秒787(M2) 7(96)
30号車 DRAGON M3位(総合13位) 1分16秒803(M3) 5(72)

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
「今大会は、セッティングもばっちり決まり、チームのおかげで4連勝することができました。4レース目は、無線でムチを入れられたものの、最後の2周で体力と気力が切れてしまい、基礎体力のなさを痛感しました。もっとトレーニングしないとだめですね。
今シーズン前半は、股関節の手術の影響もあって、特にブレーキングの感覚にズレが生じていましたが、それもほぼ以前の状態に戻っています。ライツに乗るのは厳しいかもしれないと思ったこともありましたが、まだいけそうです。富士もこの調子で頑張ります」

■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「真夏の菅生での4連戦、身体的にも精神的にもハードな週末でした。金曜日の公式練習が車両トラブルにより全く走行出来なかったこともあり、セットアップを合わせ込めず苦しい展開となりました。決勝でもフライングや接触等もありましたが、なにより今大会は今田選手が本当に速くて完敗でした。来週末には富士大会の開催となりますが、各セッションを有効に使って高い次元のマシンに仕上がるように、集中して全力で臨みます」

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「稀に見るダメなレースウィークでした。速さ以前に、現場での車両に関するトラブル対応や解析ができていませんでした。これは大きな反省材料です。3レース目まではセッティングが進まず迷走してしまい、最後のレースになって、ようやくペースを取り戻すことができました。そんな状況でしたが、今週末の今田選手の仕上がりは本当に素晴らしかったので、自分が上手くやっても勝てなかったと思います」



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