
野村選手、3連勝で有終の美を飾る
マスタークラスは清水選手が初のチャンピオンを獲得
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、11月29〜30日、モビリティリゾートもてぎで行われた、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第16~18戦に参戦し、野村勇斗選手が3レースすべてをポール・トゥ・ウィンで制し、2025シーズンを最高の形で締めくくりました。
マスタークラスは、清水康弘選手が第16戦の優勝でチャンピオンを決め、最終第18戦も制して、こちらも有終の美を飾りシーズンを終えました。
富士大会から3か月近いインターバルを経ての開催となった最終大会は、ケイレン・フレデリック選手に代わって松井啓人選手が初参戦。マスタークラスにはKEN ALEX選手が追加エントリーし、小春日和のなか予選と決勝3レースが行われました。
■第16、17戦予選(11月29日(土)午前8時50分〜9時20分)
それぞれ10分間で行われた第16、17戦の予選。野村選手は、3周のウォームアップ後に連続でアタックを行い、第16戦では、最後に逆転しトップタイム。クルマをアジャストして臨んだ第17戦では、見事な集中力を見せて、2位を0.3秒引き離すコースレコードを叩き出し、両レースともにポールポジションを獲得しました。
ザック・デビッド選手は、2回目のセット変更の方向を誤ってしまい、5位と7位。初参戦の松井選手は、2回目に走り方を掴んで10位と6位、卜部和久選手は、思うようにタイムが伸びず9位と10位でした。

| ドライバー | Rd16予選タイム(順位) | Rd17予選タイム(順位) | Point(累計) | |
| 1号車 | 卜部 和久 | 1分44秒238( 9) | 1分43秒993(10) | 0( 5) |
| 50号車 | 野村 勇斗 | 1分43秒135( 1) | 1分42秒597( 1) | 2(123) |
| 51号車 | Z.デビッド | 1分43秒701( 5) | 1分43秒816( 7) | 0( 25) |
| 58号車 | 松井啓人 | 1分44秒412(10) | 1分43秒806( 6) | 0( 0) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:11度、路面温度:13度
■第16戦決勝(11月29日(土)午後2時10分~14周)
ポールからスタートを決めた野村選手は、2位に上がった小林選手との差を、4周目1.4秒、8周目1.9秒と、少しずつ広げていきました。9周目にコースオフした車両があり、セーフティカーが入りましたが、リスタートも危なげなく決めて、ポール・トゥ・ウインで今季10勝目を飾りました。
卜部選手は1周目に7位に上がり、後方から攻められましたが抑えきって7位でフィニッシュ。デビッド選手、松井選手はスタートで遅れてしまい、9位と11位でした。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
| 1号車 | 卜部 和久 | 7位 | 1分44秒966( 7/15) | 0( 5) |
| 50号車 | 野村 勇斗 | 優勝 | 1分43秒537( 1/15) | 10(133) |
| 51号車 | Z.デビッド | 9位 | 1分45秒105(11/15) | 0( 25) |
| 58号車 | 松井啓人 | 11位 | 1分45秒054( 9/15) | 0( 0) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:16度、路面温度:23度
■第17戦決勝(11月30日(日)午前9時05分~14周)
オープニングラップの先陣争いで、6台がリタイアするという荒れたレースになりました。野村選手は、小林選手に背後につけられたものの、セーフティカーランからのリスタートも確実に決めて、第16戦に続くポール・トゥ・ウインで11勝目を飾りました。この優勝で、チームは2023年以来となるチームタイトルを決めました。
松井選手はオープニングラップの5コーナーで他車に追突。デビッド選手と卜部選手は、並走したS字カーブで接触してしまい、3選手はその場でリタイアとなってしまいました。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
| 1号車 | 卜部 和久 | DNF | – | 0( 5) |
| 50号車 | 野村 勇斗 | 優勝 | 1分44秒110( 1/15) | 10(143) |
| 51号車 | Z.デビッド | DNF | – | 0( 25) |
| 58号車 | 松井啓人 | DNF | – | 0( 0) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:9度、路面温度:18度
■第18戦決勝(11月30日(日)午後1時30分~19周)
野村選手は、今大会3回目のスタートも決め、トップを快走。2位小林選手もほぼ同じペースでしたが、野村選手はミスなくギャップを保って19周を走り抜き、今シーズンの最終戦もポール・トゥ・ウィンで制して12勝目。有終の美を飾りました。
卜部選手はグリッド位置を守って7位でフィニッシュ。松井選手は第17戦で傷めたマシンの修復がぎりぎりで間に合いましたが、10位を走行中に不安定な挙動を感じピットイン。チェックをしてコースに戻り14位で完走しました。デビッド選手は、マシン修復がならず、出走を取り消しました。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | Rank | |
| 1号車 | 卜部 和久 | 7位 | 1分45秒887( 8/14) | 0( 5) | 10 |
| 50号車 | 野村 勇斗 | 優勝 | 1分44秒445( 2/14) | 10(153) | 1 |
| 51号車 | Z.デビッド | DNS | – | 0( 25) | 8 |
| 58号車 | 松井啓人 | 14位 | 1分46秒251(10/14) | 0( 0) | – |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:25度
すでにチャンピオンを決めている野村選手が、最終大会をパーフェクトな形で締めくくりました。ルーキーながら圧倒的な強さを示した野村選手の走りを、トラブルなく支え、3年連続となるドライバーズタイトル、1年ぶりとなるチームタイトルを獲得できたことは、チームにとっても大きな自信になりました。
来シーズンもチャンピオンチームとして、挑戦する気持ちを忘れずに臨みたいと思います。支えていただいた関係者の皆さま、応援いただいたファンの皆さまに改めて感謝いたします。
■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「フリー走行の段階ではもう少しいけると思っていましたが、予選のコンディションに合わせきれなかったことが、すべてでした。レースでは、幅寄せされて接触したりしましたが、それも、結局はその位置で競り合っているからですので、もっと前を走れるドライバーになれるよう頑張ります。
来年は、まだ何も決まっていませんが、来年もどこかで走りたいと思っていますので、引き続き応援をよろしくお願いします」
■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「今年はルーキーイヤーで、開幕大会からスタートを失敗するなど、上手くまとめ切れないレースが続きました。でも、チームの方々が細かいところまで指導してくれ、岡山大会からは、良いパフォーマンスを発揮することができました。
メカニックの皆さんには最後まで走りきれるクルマを、エンジニアの今関さんには毎戦これ以上ないほどのセットを用意していただいて、本当にありがたかったです。 武藤監督、大津アドバイザーには、ドライビングの細かいところまでアドバイスしていただき、盤石な態勢で走ることができ、楽しいシーズンでした。
恵まれた環境で走らせていただき、自分自身、この1年ですごく成長したと実感しています。特にドライビング面では、走りの精度が上がり、引き出しも増えました。この経験を次のステージでしっかり生かしたいと思います」
| ■50号車監督 武藤英紀コメント 「前大会でチャンピオンが決まり、無意識のうちに気の緩みが出てはいけないので、いつも以上に集中して臨もうと各スタッフに気合いを入れて、もてぎに入りました。結果的には、ダブルポールも取りましたし、3レースともスタートを決めて、3連勝で最終大会を終えることができました。チャンピオンに華を添える形で終わることができ、非常に良かったと思います。 この1年で、野村選手はもちろんですが、チームは大きく成長しました。特に今大会では、それを強く感じました。ドライバー、チームの両部門でチャンピオン取れましたので、これ以上ない良いシーズンでした」 |
■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「今週末は、我々が望んだようには進まず、かなり悪い週末でした。予選1回目は5位で悪くありませんでしたが、トップグループとの差はまだかなりありました。予選2回目ではセットアップの方向性を誤ってしまい、グリッドを上げることができませんでした。
レースも不運が重なって思うような展開にはなりませんでした。1戦目はスタートでコース外に押し出されてポジションを失い、2戦目は接触でリタイア。さらに、ダメージが深刻で3戦目は出走を諦めるしかありませんでした。今週末のドライビングの出来を考えれば、シーズン最後の大会がこのような結果で終わり、非常に残念でしたが、これもレースということだと思います。
来年の計画はまだ未定ですが、冬の間に状況を見極めて答えを出すことになると思います」
■58号車ドライバー 松井啓人選手コメント
「最後のレースは、クルマが直りきっておらず、たぶんエアロに関する部分だと思いますが、グリップがなく浮いているような感覚だったので、チェックのためにピットに入りました。不具合は見つけられませんでしたが、経験のためにコース復帰して最後まで走りました。
今回のチャレンジは、傍から見たら良くなかったという評価になると思いますが、結果はいろいろなエレメントが重なって出るものだと思いますので、今回はピースが少なすぎました。でも、今回の挑戦でいくつかのピースははめることができたと思います。
自分は「F1を目指す」と公言していますが、そこに向かって確実に成長したという手応えも感じていますので、この参戦は結果にかかわらずポジティブに捉えています」
| マスタークラス |
■第16、17戦予選
SFライツ初挑戦ながら、練習走行から速さを見せていたALEX選手が、三人を圧倒する1分45秒台前半のタイムで、ダブルクラスポールを獲得しました。2位には、第16戦は清水選手、第17戦はDRAGON選手がつけました。今田選手は、海外から帰国したばかりで、疲れが影響したのか、両レースともに4位でした。

| ドライバー | Rd16予選タイム(順位) | Rd17予選タイム(順位) | Point(累計) | |
| 4号車 | 今田信宏 | 1分46秒590(M4) | 1分46秒390(M4) | 0( 82) |
| 6号車 | KEN ALEX | 1分45秒147(M1) | 1分45秒144(M1) | 2( 2) |
| 8号車 | 清水康弘 | 1分46秒291(M2) | 1分46秒171(M3) | 0(113) |
| 30号車 | DRAGON | 1分46秒532(M3) | 1分46秒068(M2) | 0( 94) |
■第16戦決勝(14周)
スタートでトップに立った清水選手が、2位のDRAGON選手を少しずつ引き離していき、ALEX選手はスタートのミスと1周目のスピンで大きく遅れてしまいました。9周目、今田選手のコースオフでセーフティカーランとなり、各車の間隔はリセットされました。
落ち着いてリスタートを決めた清水選手は、2位との差を開いて今季8勝目のチェッカーを受け、同時に、今シーズンのマスタークラスチャンピオンを決定しました。
DRAGON選手とALEX選手は、リスタート後は競り合いとなりましたが、DRAGON選手が0.1秒差で抑えきってチェッカーとなりました。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
| 4号車 | 今田信宏 | DNF ( – ) | 1分46秒932(M3) | 0( 82) |
| 6号車 | KEN ALEX | M3位(総合14位) | 1分45秒411(M1) | 5( 7) |
| 8号車 | 清水康弘 | M1位(総合12位) | 1分46秒772(M2) | 10(123) |
| 30号車 | DRAGON | M2位(総合13位) | 1分47秒242(M4) | 7(101) |
■第17戦決勝(14周)
スタートで4位に後退したALEX選手でしたが、オープニングラップのS字カーブでのアクシデントを上手く切り抜けトップに立つと、今田選手との差を徐々に開いて、参戦2戦目で初優勝を飾りました。
DRAGON選手は、S字カーブのアクシデントで止まったクルマを避けようと急ブレーキ。清水選手はこれを避けきれずに接触。二人はピットに戻りましたが、マシンのダメージがあり、そこでリタイアとなってしまいました。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
| 4号車 | 今田信宏 | M2位(総合 9位) | 1分46秒665(M2) | 7( 89) |
| 6号車 | KEN ALEX | M1位(総合 8位) | 1分46秒150(M1) | 10( 17) |
| 8号車 | 清水康弘 | DNF | – | 0(123) |
| 30号車 | DRAGON | DNF | – | 0(101) |
■第18戦決勝(19周)
清水選手がクラスポールから、1分47秒台の安定したタイムを刻んでトップを快走。DRAGON選手、ALEX選手が2位を競り合う間に、6周目1.8秒、12周目3.3秒と、着実に差を広げていきました。最後は5.7秒差をつけて、今大会2勝目、今季9勝目となるチェッカーを受け、チャンピオンとして有終の美を飾りました。今田選手はペースが上がらず、単独走行となって4位でゴールしました。

| ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | Rank | |
| 4号車 | 今田信宏 | M4位(総合13位) | 1分47秒749(M4) | 3( 92) | 3 |
| 6号車 | KEN ALEX | M3位(総合12位) | 1分47秒610(M3) | 5( 22) | 4 |
| 8号車 | 清水康弘 | M1位(総合10位) | 1分47秒339(M1) | 10(133) | 1 |
| 30号車 | DRAGON | M2位(総合11位) | 1分47秒532(M2) | 7(108) | 2 |
■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
「鳴かず飛ばずの週末でした。スピードもなく、流れにも乗れず、スタートの良さも活かせずに順位を落とし、アクシデントを避けて抜かれるなど、良いところがまったくありませんでした。最後のレースでは2速でスタートするミスもありましたが、40時間フライトのあと、休みなくレースに臨んだ疲れが出ていたように思います。
でも、1年間、マシンを壊すこともなく終えることができました。今シーズンは、欠場せざるを得ない大会があって、タイトル争いには加われませんでしたし、序盤は股関節の手術の影響もあって違和感を抱えての参戦でしたが、DORAGON選手、清水選手と楽しく走ることができました。ありがとうございました」
■6号車ドライバー KEN ALEX選手コメント
「参戦を決めたときに考えていた以上の結果で、優勝もできましたし、課題もたくさん見つかりました。何よりも、クラッシュもなく無事に終わって、スポット参戦としては大収穫の週末でした。
来シーズンに向けて、スタートの難しさは経験しておいて良かったと思います。あとは、混戦の戦い方ですね。前車に近づいてダウンフォースが抜ける感覚は経験しましたが、抜けたあとの対処法など、学ぶことはたくさんあります。
来年も継続して参戦する予定ですが、参戦するからには、チャンピオンを目指します。その手応えは十分感じましたので、三人と良いレースができるよう準備したいと思います」
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「SFライツ挑戦2年目でマスタークラスのタイトルを獲得できて大変嬉しく思うと同時に、安堵の気持ちで一杯です。毎戦気の抜けないレースばかりでしたが、まさに一瞬一瞬の積み重ねがこの結果をもたらしました。良いことも悪いことも色々起こる中、1年を通じて支えてくれたチームメンバー、特に昨年からコーチとして帯同していただいた影山正美さんにはフォーミュラカーの基礎から丁寧に教えていただき感謝しています。
またDRAGON選手、今田選手には良きライバルとして、常に私に良い緊張感と充実感をもたらしていただきました。今後も自分と向き合いながら、更に良いパフォーマンスを示せるように努力を続けたいと思います。1年間ありがとうございました」
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「今回はレギュラーの三人に対して、ALEX選手のスピードが抜き出ていました。決勝は、経験の差が出た部分はあると思いますが、純粋な速さでは刃が立ちませんでした。来年もこのメンバーでやるとなると、このままでは勝てないので、シーズンオフに減量を含め、フィジカル面をしっかり鍛える必要性を痛感しました。
スピードではビハインドがありましたが、他車とは違う戦略で、ニュータイヤを温存して臨んだ2レース目は、S字のアクシデントがなければ勝てたと思いますので、それが少し心残りです」























