2025 SFL第4,5戦オートポリス(5/18-19)レポート

Super Formula Lights

フレデリック選手が今季初優勝、ランキング2位に浮上
マスタークラスは清水、今田選手が星を分け合う

B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、5月17〜18日、オートポリスで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第4、5戦に参戦しました。荒天のため、2レースのみの開催となりましたが、ケイレン・フレデリック選手が第4戦で2位、第5戦で優勝を飾り、ランキング2位に浮上しました。
マスタークラスは、清水選手が今季4勝目、怪我から復帰の今田選手が今季初優勝を飾りました。

■第4、5戦予選(5月16日(金)午後3時20分~3時50分)
土曜日は悪天候となる予報が出ていたため、主催者は金曜日最後の専有走行を仮予選として行い、土曜日の荒天に備えました。結果的に、土曜日は早朝から濃霧と風雨に見舞われ、走行はすべてキャンセル。金曜日の専有走行の結果でグリッドが決定しました。
専有走行で好調のフレデリック選手は、セッション前半のアタックでトップタイム、野村選手が3位につけました。全車がピットに入った後、残り8分から二度目のアタックが始まりました。ここで多くの車両が2セット目のニュータイヤを投入するなか、天候回復に賭けたザック・デビッド選手は、タイヤ温存作戦をとりアタックは行いませんでした。
最後に素晴らしいアタックを見せた野村選手は、唯一1分37秒台のタイムで自身初のポールポジション(PP)、フレデリック選手が3位を獲得。セカンドタイムで決定する第5戦は、逆にフレデリック選手がPP、野村選手が3位でした。卜部和久選手は両レースとも8位、デビッド選手は同じく9位でした。

ドライバー Rd4予選タイム(順位) Rd5予選タイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 1分39秒156( 8) 1分39秒371( 8) 0( 3)
50号車 野村 勇斗 1分37秒930( 1) 1分38秒527( 3) 0(21)
51号車 Z.デビッド 1分39秒436( 9) 1分39秒720( 9) 0( 6)
58号車 K.フレデリック 1分38秒358( 3) 1分38秒373( 1) 0( 7)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:23度、路面温度:25度
  • ※予選が行われなかったため、PPポイント(1P)は与えられませんでした

■第4戦決勝(5月18日(日)午前8時30分~21周)
前日の雨で路面が少し湿っている部分はありましたが、全車スリックタイヤでグリッドに並びました。ポールスタートの野村選手は、初優勝を狙ってこのレースにニュータイヤを投入。しかし、スタートでホイールスピンをしてしまい、佐野選手、フレデリック選手に先行を許してしまいました。
フレデリック選手を攻め続けた野村選手でしたが、抜くチャンスは訪れず、逆に8周目以降は、4位のマッソン選手に迫られる展開となりました。そして、10周目の1コーナーで外側から並んだマッソン選手を抑える際に、野村選手が押し出す形になり、これが危険行為と判定されて、プラス5秒のペナルティを課されてしまいました。
その後も順位変動はないままフィニッシュを迎え、フレデリック選手は2位表彰台、スタートでポジションを上げたデビッド選手が5位入賞を果たしました。野村選手は3位でチェッカーを受けましたがペナルティで8位、卜部選手はスタート順位を守って9位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 9位 1分41秒654(10/14) 0(3)
50号車 野村 勇斗 8位 1分40秒875( 3/14) 0(21)
51号車 Z.デビッド 5位 1分41秒252( 7/14) 2(8)
58号車 K.フレデリック 2位 1分40秒896( 4/14) 7(14)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:15度、路面温度:18度

■第5戦決勝(5月18日(日)午後0時15分~14周)
このレースにニュータイヤを残したフレデリック選手は、狙いどおりスタートでトップを守ると、好ダッシュで2位に上がった佐野選手を従えてオープニングラップを終えました。そこから、ニュータイヤの優位性を活かして、2位との徐々に差を開いていきました。
一方、9番手スタートのデビッド選手は、オープニングラップの1コーナーで仕掛けた際にグラベルに飛び出してしまい最後尾へドロップ。クラッチの状態が完全でなかった野村選手は、シグナルが消える前に少し動いてしまい、またしてもプラス5秒のペナルティを課されてしまいました。
5周目には、2位との差を3.5秒まで広げたフレデリック選手は、その後も1分40秒台のラップタイムを刻んで独走に持ち込み、最後は9秒近い差をつけて、ポール・トゥ・ウィンで今季初優勝を飾りました。
5番目にフィニッシュした野村選手は7位、卜部選手は8位、最後尾からフレデリック選手に次ぐベストタイムをマークしながら追い上げたデビッド選手は10位でした。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 卜部 和久 8位 1分41秒588(10/14) 0(3)
50号車 野村 勇斗 7位 1分41秒254( 8/14) 0(21)
51号車 Z.デビッド 10位 1分40秒323( 2/13) 0(8)
58号車 K.フレデリック 優勝 1分39秒928( 1/14) 10(24)
  • 天候:曇り、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:21度

■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「難しかった週末、苦戦した週末でした。先週のインタープロトで勝って、良い流れで今週末を迎えましたが、終わってみれば、悔しさと残念な気持ちが入り混じった気分です。
自分としては最善を尽くしましたが、1年目という難しさもあって、あらゆる部分で少しずつ足りなかった感じです。速さに関していえば、チームメイトと比べて、ラップタイムでコンマ2、3秒ですが、その差を埋める作業を丁寧にしていくことが必要です。次の岡山ラウンドの前にテストがありますので、セットアップとドライビングの課題となっていることを試して、少しずつ差を詰めていきたいと思います」

■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「今週末は、とにかく噛み合いませんでした。一発の速さに関しては良かったと思いますが、ロングランに関しては練習の段階から少し課題があると感じていました。レースに向けていろいろ試しましたが、納得できるレベルにまで改善することはできませんでした。
次の岡山は、フォーミュラで走ったことがありませんが、テストでロングランの改善を進め、一発の速さとの両立ができるように合わせ込んでいきたいと思います」

■50号車監督 武藤英紀コメント
「予選までは上手く組み立てられましたし、流れもあるように感じました。1レース目はPPのグリッド位置にウェットパッチが残っていたようで、ドライなら問題はなかったと思いますが、ホイールスピンで遅れてしまいました。このレースはニュータイヤでしたが、ユーズドを履くケイレン選手に仕掛けられませんでしたので、やはりロングランに課題があったようです。2レースともポイントとなったのはスタートでしたが、このカテゴリーでのスタートの重要性を改めて認識しました。
今大会ノーポイントだったのは、シリーズを考えるとかなり痛いですが、ドライバーのポテンシャルはありますので、岡山のテストで立て直したいと思います」

■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「今週末は、予選がキャンセルされ、金曜日のフリー走行の結果でグリッドが決まりました。でも、あの日はペースが足りず、結果は両レースとも9位と、満足できるものではありませんでした。それでも、レース1は9位から5位まで順位を上げることができました。レース2もスタートは良かったのですが、そのあと自分のミスで少し接触してしまいました。
でも、すべてがうまくいったとき、僕らにはトップに立てるだけのペースがあることを証明できました。だから、次の大会では集中してもっといいパフォーマンスを見せたいと思います。岡山国際サーキットには行ったことはありませんが、良いトラックと聞いていますので、楽しみにしています」

■58号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
「良い週末でした。予選は、レース1でもう少し上のグリッドを獲得したかったですが、悪くはなかったと思います。決勝レースは、どちらも満足できる結果でした。レース1ではユーズドタイヤを使いましたが、他のドライバーたちを抑えて2位を獲得することができました。レース2はマシンの状態も本当に良く、すべてがうまくいったと思います。チームにとっても喜ばしい結果ですし、スタッフの働きは勝利に値するものでした。彼らに感謝します。もちろん私自身も今シーズンの初勝利を飾ることができハッピーです。これからのレースが楽しみです」

マスタークラス

■第4、5戦予選
開幕大会は負傷欠場だった今田選手が、最初のアタックで1分41秒937をマークしてトップに立ちますが、これを開幕大会3連勝の清水選手が1分41秒465で更新。DRAGON選手は3番手につけました。
二度目のアタックは、今田選手のみがコースイン。清水選手とDRAGON選手は、決勝に向けてニュータイヤを温存する作戦を取り、最後のアタックは行いませんでした。今田選手は、狙いどおり1分41秒215をマークして清水選手を逆転。セカンドタイムでもトップとなり、第4戦、第5戦のポールポジションを決めました。

ドライバー Rd4予選タイム(順位) Rd5予選タイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 1分41秒215(M1) 1分41秒870(M1) 0(0)
8号車 清水康弘 1分41秒465(M2) 1分42秒101(M2) 0(32)
30号車 DRAGON 1分42秒265(M3) 1分42秒314(M3) 0(14)

■第4戦決勝(21周)
DRAGON選手が好スタートでトップに立ち、清水選手が続きますが、今田選手は水温の低さからエンジンの制御機能が作動してしまい、レース前半はペースが上がらずに二人から大きく遅れてしまいました。
快調なペースでトップを走るDRAGON選手でしたが、5周目に入ったところでフライングの裁定が出て、レース結果にプラス10秒が課されました。無線でそれを知ったDRAGON選手でしたが、「清水選手が仕掛けるまではこのままいこう」と、その後も清水選手を従えてトップを守り続けました。
レースの折り返しとなる10周目あたりからペースの戻った今田選手は、ハイペースで追い上げ、15周目には二人の背後につけました。
17周目にDRAGON選手に仕掛けた清水選手がトップに浮上。その後は二人との差を広げ、開幕から4連勝となるチェッカーを受けました。その5秒後に、DRAGON、今田選手の順でフィニッシュしましたが、順位は今田選手が繰り上がって2位となりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M2位(総合13位) 1分44秒067(M3) 7(7)
8号車 清水康弘 M1位(総合12位) 1分42秒918(M2) 10(42)
30号車 DRAGON M3位(総合14位) 1分42秒764(M1) 5(19)

■第5戦決勝(14周)
ユーズドタイヤでスタートしたクラスポールの今田選手を、ニュータイヤを履く清水、DRAGON選手が追う展開となりました。5連勝を狙う清水選手でしたが、2周目に今田選手との競り合いのなかで痛恨のスピン。二人から大きく遅れてしまいました。
DRAGON選手は、ニュータイヤの優位性が発揮される序盤、今田選手に何度か仕掛けますが、今田選手も巧みに抑え、その状態のままレース後半に入りました。その後、抜きどころの少ないコースでDRAGON選手にチャンスが訪れることはなく、今田選手が復帰2レース目で、今季初優勝を飾りました。
一時は10秒あった差を、ファステストラップを記録しながら追い上げた清水選手は、最後はDRAGON選手に迫りましたが、1秒届かず3位でフィニッシュしました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合11位) 1分44秒269(M2) 10(17)
8号車 清水康弘 M3位(総合13位) 1分42秒820(M1) 5(47)
30号車 DRAGON M2位(総合12位) 1分44秒291(M3) 7(26)

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
「今シーズンは、手術の影響か他のカテゴリーで調子がとても悪く、スピード域の高いライツで復調のきっかけを掴みたいと思っていました。予選は勢いで行った感がありますが、結果的にはそれが良かったのか、多少感覚が戻ってきたように感じました。
第4戦は、エンジンの制御が入ったこともありスタートで2台に抜かれてしまいました。第5戦は、ユーズドタイヤでしたが、セットチェンジも上手くいきました。最初の数周はニュータイヤを履く清水選手やDRAGON選手を抑えるのに苦労しましたが、それを乗り切ってからは何とか逃げ切れました。復調の兆しも見えてきましたので、この優勝を転機にここからは右肩上がりで行きたいと思います」

■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「今大会は天候が不安定で、週末を通じてコースインの度に路面状況が大きく変化している難しいコンディションでした。第4戦はDRAGON選手のロケットスタートで先行を許してしまいましたが、21周のレースでしたので前半はセーブして後半に落ち着いて抜きかえすことができました。第5戦は序盤で今田選手との争いの中でスピンをしてしまい、追い上げるレースになりましたが、あと一歩のところで届きませんでした。抜く側がリスクを負わなければいけないレースにおいては、予選で前にいることが何より大事ですので、今後は特に予選一発のタイムを追い求めていきたいと思います」

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「不完全燃焼の週末でした。まずは予選ですが、天候の回復に賭けて、金曜の仮予選では、ウェットの予選を想定していろいろ試していました。結果的に予想は見事に外れました。
第4戦はフライングを取られましたが、あれは、クラッチを切ってアクセルを全開にしたときに、少し動いてしまう症状が出ることがあとで分かりました。第5戦では、序盤に今田選手を捕えるチャンスがありましたが、そのときにデジタルフラッグが出ていて、それが黄色に見えたので引きました。実は逆光で判別が難しかったのですが、次の周に改めて見たらオイル旗でした。と、こんな感じで、万事がうまく回っていなかったですね」



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