野村選手が完全制覇の3連勝、ポイントでもトップに並ぶ
一騎討ちのマスタークラスは清水選手が2勝をあげる
B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、6月21〜22日、岡山国際サーキットで行われた、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7~9戦に参戦し、野村勇斗選手が初優勝を含む3戦すべてでポール・トゥ・ウィン。ファステストラップも記録する完全制覇を成し遂げました。ザック・デビッド選手、ケイレン・フレデリック選手も表彰台を獲得するなど、好結果でシリーズ前半を締めくくりました。
マスタークラスは、DRAGON選手と清水康弘選の一騎討ちとなり、激しい攻防の末、清水選手が2勝をあげ、ポイントリーダーの座を守りました。
■第7、8戦予選(6月21日(土)午前9時〜9時30分)
上空には雲が多く、蒸し暑い天候となった土曜日。10分間のインターバルを挟んで行われた第7、8戦の予選で、野村選手が抜き出た速さを見せました。前日の練習走行でも午後のセッションでトップタイムをマークして、上り調子だった野村選手は、第7戦では2位に0.3秒、第8戦では0.4秒という大差をつけて、ダブルポールを獲得しました。
ザック・デビッド選手は、第7戦で自身のベストグリッドとなる2位を獲得。第8戦は5位でしたが、両レースとも上位グリッドを得ました。ケイレン・フレデリック選手は、練習走行では好調だったものの、得意としているはずのコースで伸び悩み、卜部和久選手は後方グリッドに沈んでしまいました。
ドライバー | Rd7予選タイム(順位) | Rd8予選タイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 1分22秒934(10) | 1分22秒958( 9) | 0( 3) |
50号車 | 野村 勇斗 | 1分22秒154( 1) | 1分21秒961( 1) | 1+1(23) |
51号車 | Z.デビッド | 1分22秒462( 2) | 1分22秒463( 5) | 0( 8) |
58号車 | K.フレデリック | 1分22秒648( 6) | 1分22秒595( 7) | 0(24) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:27度、路面温度:32度
■第7戦決勝(6月21日(土)午後1時30分~25周)
スタートが課題となっていた野村選手でしたが、トップを守って1コーナーをクリア。周回を重ねるたびに2位以下を引き離していき、折返しとなる13周目には3秒のギャップを築いて独走状態に持ち込みました。その後も安定した走りでレースをコントロールした野村選手は、完璧なレースでSFライツ初優勝を飾りました。
デビッド選手は、スタート直後の1コーナーでポジションを1つ落としましたが、すぐに2位に順位を回復。終盤ペースが落ちたところで3位に後退しましたが、初の表彰台に上りました。フレデリック選手は2周目に4位に上がると、順位をキープしてフィニッシュ。卜部選手はスタートで大きく出遅れてしまい11位でした。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 11位 | 1分24秒295( 3/13) | 0( 3) |
50号車 | 野村 勇斗 | 1位 | 1分24秒159( 1/13) | 10(33) |
51号車 | Z.デビッド | 3位 | 1分24秒367( 4/13) | 5(13) |
58号車 | K.フレデリック | 4位 | 1分24秒421( 7/13) | 3(27) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:30度、路面温度:42度
■第8戦決勝(6月22日(日)午前9時55分~18周)
抜群のスタートでトップを守った野村選手は、安定した走りで周回を重ねました。途中2位のマッソン選手が迫りましたが、「余力を残していた」という野村選手は、終盤引き離して、第7戦に続くポール・トゥ・ウィンで連勝を飾りました。
デビッド選手は、序盤からフレデリック選手を含めた4台による6位争いの先頭を走り、最後までポジションを守りきって貴重なポイントを獲得しました。フレデリック選手は、終盤に順位を上げてデビッド選手の背後にまで迫り7位、卜部選手は9位でした。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
1号車 | 卜部 和久 | 9位 | 1分25秒489(10/13) | 0( 3) |
50号車 | 野村 勇斗 | 1位 | 1分24秒238( 1/13) | 10(43) |
51号車 | Z.デビッド | 6位 | 1分25秒122( 8/13) | 1(14) |
58号車 | K.フレデリック | 7位 | 1分25秒078( 6/13) | 0(27) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:31度、路面温度:43度
■第9戦決勝(6月22日(日)午後2時~18周)
この週末3度目のスタートを決めた野村選手は、第7、8戦同様にトップを快走。13周目にストップした車両の回収でセーフティカーが入りましたが、リスタートも決めて3連勝のチェッカーを受け、岡山大会を完全制覇しました
上位陣はやや縦に長い展開となり、スタートで前に出たフレデリック選手が3位を守って表彰台。デビッド選手が4位、卜部選手は9位でした。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
01号車 | 卜部 和久 | 9位 | 1分25秒630( 9/13) | 0( 3) |
50号車 | 野村 勇斗 | 1位 | 1分24秒515( 1/13) | 10(53) |
51号車 | Z.デビッド | 4位 | 1分25秒327( 8/13) | 3(17) |
58号車 | K.フレデリック | 3位 | 1分25秒163( 3/13) | 5(32) |
- 天候:曇り、コース:ドライ、気温:32度、路面温度:41度
今大会でシリーズ6大会中3大会が終了し、タイトル争いも前半戦を終えたことになります(オートポリス大会の第6戦が行われていませんので18戦中8戦が終了)。シリーズポイントは、ドライバー部門では、佐野選手と野村選手が53ポイント、チーム部門でもトムスとB-Maxが63ポイントで並ぶという、まったく互角という結果になっています。
■1号車ドライバー 卜部和久選手コメント
「第7戦はスタートで遅れて単独走行になりましたが、そのときのフィーリングが良かったので、日曜日を楽しみにして決勝に臨みました。でも、前にクルマがいるとまったく違うフィーリングになってしまったので、前からスタートすることの重要性を改めて感じました。
次の大会では、金曜日のフリー走行から、予選へと繋がる組み立て方を意識して臨みます。SUGOはF4での優勝経験もありますし、得意なサーキットですので、表彰台に上って流れを引き寄せたいと思います」
■50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
「岡山はフォーミュラで走るのが初めてだったので、準備はしてきましたが、少し不安もありました。実際、金曜日の走り始めは決して良い状態ではありませんでしたが、午後から改善することができました。予選でダブルポールを取れたのは本当に良かったですし、クルマは凄く乗りやすくて、今関さんに感謝しています。
初優勝は自分としても素直に喜びましたが、多くの人の力を借りて勝てたので、チームの皆さんやお世話になっている人たちが喜んでくれたことが、何よりも嬉しかったです。
オートポリスは自分のミスでポイントを失いましたが、練習を重ねたスタートが3連勝という最高の結果に繋がって、ポイントも思っていたより早く取り戻すことができました。SUGO大会もこの良いイメージを継続できるよう頑張ります」
■50号車監督 武藤英紀コメント 「金曜日午後からの路面コンディションと、持ち込みのセットアップがピンポイントではまりました。そこからは速さに関して不安はなかったですね。あとはスタートさえ決まってトラブルさえなければ、という感じでした。シリーズ前半戦を終えてポイントでトップと並びましたが、これまでもペナルティなどでポイントを失っていて、スピード自体が足りなかったわけではありませんし、今回の3連勝で野村選手自身も大きく成長しました。まだアップデートできる要素もありますので、後半戦に向けて手応えを感じています」 |
■51号車ドライバー ザック・デビッド選手コメント
「クルマのセッティングに関しては正しい方向へ一歩踏み出せたように思います。第8戦の予選では少しセッティングの方向性を間違えてしまいましたが、すべてがうまくいけばポール争いに加われることを証明できました。
第7戦では表彰台に上りましたが、決勝はクルマの良いバランスを見つけるのに苦労しましたし、ペースも良くありませんでした。ですから、もっと良いポジションでフィニッシュできるよう、次戦に向けて解決策を見いだす必要があります。SUGOを走るのは初めてですが、オンボード映像を見ると、かなりエキサイティングで速いコースのようですね。いずれにしても予選が重要になるのは間違いないので、しっかり準備したいと思います」
■58号車ドライバー ケイレン・フレデリック選手コメント
「予選順位を考えると、第3レースで表彰台に上れたことは良かったと思います。ただ、本来のスピードを発揮できれば、もっと上位で予選を通過し、優勝争いができていたはずですので、全体的には残念な結果と言わざるを得ません。SUGOに向けては、準備する時間が十分ありますので、しっかりと見直して臨みたいと思います。SUGOは好きなサーキットですので、とても楽しみにしています。4レースになるかもしれませんし、面白いレースウィークになりそうです」
マスタークラス |
■第7、8戦予選
今大会は、今田選手が他のレーススケジュールとのバッティングで欠場となったため、鈴鹿大会に続いて、清水選手とDRAGON選手の一騎討ちとなりました。
金曜日に行われた専有走行では、DRAGON選手が一歩リードする形でしたが、予選では「気合いでタイムを削り取りました」と、清水選手が両レースともにDRAGON選手を上回りクラスポールを獲得しました。ただ、決勝に向けては、レース運びに長けているDRAGON選手に対する警戒感を強めていました。
ドライバー | Rd7予選タイム(順位) | Rd8予選タイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | 1分24秒617(M1) | 1分24秒287(M1) | 1+1(49) |
30号車 | DRAGON | 1分24秒777(M2) | 1分24秒821(M2) | 0(26) |
■第7戦決勝(25周)
予選では後塵を拝したものの、DRAGON選手は、目論見どおりスタートで清水選手の前に出て抑え続けました。12周目には、後方から追い上げてきた卜部選手が間に入ったことで、その差が開きましたが、次の周、シフトにトラブルを抱えていたDRAGON選手は、その症状が酷くなりペースダウン。折り返しとなる13周目に清水選手が逆転しました。
その後、トップの清水選手と、完走狙いに切り替えたDRAGON選手の差は、周回を追うごとに広がり、清水選手が悠々逃げ切ってクラス優勝のチェッカーを受けました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合12位) | 1分26秒045(M1) | 10(59) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合13位) | 1分26秒605(M2) | 7(33) |
■第8戦決勝(18周)
スタートでは、前戦に続いてDRAGON選手が先行したものの、清水選手も1秒以内の差で背後からプレッシャーをかけ続けました。そのバトルは周回を重ねるたびにヒートアップ。9周目から完全にテール・トゥ・ノーズとなって、清水選手がインからアウトから仕掛け始めました。
そして、残り周回も少なくなった16周目。ダブルヘアピンで仕掛けて清水選手が前に出ますが、その側面からDRAGON選手が接触。清水選手の車両は大きく弾んで、その場でリタイア。ややすっきりしない幕切れでしたが、DRAGON選手が待望の今季1勝目を飾りました。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | DNF | 1分26秒599(M2) | 0(59) |
30号車 | DRAGON | M1位(総合12位) | 1分26秒505(M1) | 10(43) |
■第9戦決勝(18周)
今回もレース巧者のDRAGON選手がスタートで前に出て、またしても清水選手が追う展開となりました。終盤に仕掛けようと考えた清水選手は、やや間隔を保って、タイヤをマネージメントしながら備えました。終盤に入る13周目、ヘアピンでストップした車両を回収するためセーフティカーが入り、ここがチャンスと見た清水選手は、リスタート明けの16周目に一気に仕掛けてDRAGON選手の攻略に成功。再逆転を試みようとしたDRAGON選手は、単独スピンを喫してしまい、そこで勝負は決しました。
清水選手は、今季8戦6勝、75パーセントと高い勝率を誇りますが、台数が少ないマスタークラスではポイント差がつきにくいため、後半戦も気の抜けない戦いが続きます。
ドライバー | 決勝順位 | ベストタイム(順位) | Point(累計) | |
8号車 | 清水康弘 | M1位(総合11位) | 1分27秒070(M2) | 10(69) |
30号車 | DRAGON | M2位(総合12位) | 1分26秒892(M1) | 7(50) |
■8号車ドライバー 清水康弘選手コメント
「浮き沈みの激しい週末でした。予選のダブルPPと第7戦までは良い流れでしたが、第8戦のノーポイントは、シーズンを考えると非常に残念でした。ただ、接触される位置にいたことを反省して、アクシデントからも学びを得るしかありません。足回りのダメージも大きかったのですが、第9戦に向けて限られた時間の中でマシンを完璧に修復して頂き、その結果勝つことが出来たことは良かったです。
次戦までは少しインターバルがありますが、気力体力を充実させ、さらに勝ち星を積み上げていくつもりです」
■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
「得意なはずの岡山でしたが、結果として1勝2敗で勝ち越すことができず完敗です。接触してしまったことも反省しなければいけませんし、そもそも今回は、金曜日からの組み立てが上手くいっていなかったと感じています。
次も得意なSUGOですし、今田選手も戻ってくると思います。コースとメンバーが変われば、また違った展開になるはずですし、雨でも降れば面白くなると思っています。とにかくクリーンなバトルで優勝できるよう頑張ります」