小出選手とチームにとって有意義な3日間のテストを終える
San-Ei Gen with B-Max(チーム代表 宮田雅史)は、12月11~13日、鈴鹿サーキットで行われた、全日本スーパーフォーミュラ選手権公式テスト・ルーキーテストに小出峻選手を起用して参加しました。
3日間のテストは天候にも恵まれ、小出選手のSFに対する習熟と、来季に向けたセッティングの確認など、アクシデントもありましたが、予定したプログラムを概ねこなして終了しました。
■テスト1日目(12月11日(水)午前10時〜12時/午後2時〜4時)
昨年のテストにも参加している小出選手は、1年ぶりとなるSFに乗り込み慎重にコースイン。初日はSFの習熟を主目的に、午前中は34周、午後は42周と参加したドライバー18名のなかで最も多く周回を重ねました。
午後の走行では、二度のタイムアタックを行い、一度目に1分38秒093と自身が昨年のテストで記録したタイム(1分38秒435)を上回ると、セッション最後には1分37秒736までタイムを上げて、初日の走行を終了しました。
ドライバー | Session1タイム(順位) | Session2タイム(順位) | |
50号車 | 小出 峻 | 1分40秒142(18/18) | 1分37秒736(15/18) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:12℃(am)/16℃(pm)、路面温度:16℃(am)/19℃(pm)
■テスト2日目(12月12日(木)午前10時〜12時/午後2時〜4時)
午前のセッションが始まってまもなく、タイヤを交換してピットアウトした小出選手は、アウトラップの2コーナーでスピン。マシン後方からタイヤバリヤにヒットし、リアウィングとサスペンションにダメージを負ってしまいました。スタッフは、午後の走行に向け即座に修理に取り掛かりました。
修復されたクルマで臨んだ午後のセッションは、開始30分過ぎに1分37秒733をマークし、自身のベストタイムを僅かに更新。ロングランのテストを挟んで、再度のアタックでは、第1〜3セクターの区間タイムはベストをマークしていましたが、最後のシケインで痛恨のスピンを喫してしまい、タイム更新はなりませんでした。
この日で走行を終えるレギュラー陣に挑む形となった終盤のアタックでは、今回のテストのベストとなる1分36秒803をマークしました。トップタイムは牧野選手の1分35秒597で、これが今回のテストの総合トップタイムでした。
ドライバー | Session3タイム(順位) | Session4タイム(順位) | |
50号車 | 小出 峻 | 1分41秒845(19/19) | 1分36秒803(13/19) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:14℃(am)/11℃(pm)、路面温度:18℃(am)/17℃(pm)
■テスト3日目(12月13日(金)午前9時30分〜11時/午後1時〜2時30分)
この日は、ルーキー対象の走行枠で台数も少なくなりましたが、来季のF1レギュラードライバーのオリバー・ベアマン選手の参加もあり、注目のセッションとなりました。
小出選手は、午前の序盤に1分38秒492をマークすると、以降はロングランのテストを行い、このセッションで最多の32周を記録しました。終盤に1分37秒656までタイムアップしましたが、昨日のタイムには届きませんでした。
最後のセションは、3〜4周してはピットインを繰り返し、最後のアタックに向けてセッティングを進め、残り17分で1分37秒490をマーク、残り5分を切ってから最後のアタックに入りました。しかし、少し前を走っていた車両がS字でクラッシュしてしまい、アタックを中断。走行はこのまま終了となり、やや消化不良な終わり方となってしまいました。
それでも、3日間を通して、178周を走り、小出選手はSF車両に対する理解を深め、チームとしてもさまざまなセットをトライして多くのデータを収集することができ、有意義なテストとなりました。
ドライバー | Session5タイム(順位) | Session6タイム(順位) | |
50号車 | 小出 峻 | 1分37秒656(7/12) | 1分37秒490(3/11) |
- 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:7℃(am)/11℃(pm)、路面温度:9℃(am)/16℃(pm)
■チーム監督 本山 哲コメント
3日間、周回もかなりしましたし、ニュータイヤでのアタック、ロングラン、そして、クラッシュの洗礼も受けて、本当にいろいろな経験ができ、有意義なテストでした。小出選手も1年ぶりのSFでしたが、良く走ってくれたと思います。昨年と比べても成長を感じることができました。
ただ、スーパーフォーミュラで戦うためには、もっと貪欲にタイムを出しに行く姿勢など、ドライビングや精神面も含めてスキルアップしなければいけない部分もあるように感じました。早い段階でポイント圏内を走ることができるよう、そして表彰台と目標を高く持って、チームとして積極的にサポートしていきたいと思います。
■チーフエンジニア 宮田雅史コメント
1日目は、小出選手のSFへの習熟をメインにしましたが、2日目以降は、いろいろ試すことができました。シーズン中とは異なる方向性でのセットや、気温の低い冬場ならではの空力面のトライをしました。来年の開幕は3月初旬とまだ寒い時期ですしね。
小出選手は去年も走っていますが、ニュータイヤでの本格的なアタックはほとんど初めてでしたので、ウォームアップも含めて、SFできちんと1周まとめ切ることの難しさは、感じていたと思います。
いずれにしても、ドライバーもクルマもかなりの距離を走ることができましたので、貴重な経験やデータを得ることができました。これらを踏まえて、オフの間にしっかり準備をしたいと思います。
■ドライバー 小出 峻選手コメント
いろいろな経験をすることができ、成長できた3日間でした。この経験で得た良い部分はさらに伸ばし、悪い部分は繰り返さないようにしたいと思います。
SFはやはり異次元で、エンジン、タイヤ、ダウンフォースなどの、内に秘めたエネルギーが、今まで経験してきたカテゴリーとはレベルが違うと感じました。SFを構成するすべてのものが、高い次元で結集され成り立っている最高のカテゴリーだと思います。
走りに関しても、SFのポテンシャルを引き出すために、これまで経験したことのない繊細さが求められます。「針の穴を通す」という表現がありますが、その穴の大きさがこれまでとは比べ物にならないほど小さいという感じです。
特にニュータイヤでのアタックに関しては、本当に一発勝負で、ミスをしたからもう1周ということができないので、1周にすべてを集約するため、タイヤのウォームアップをし、マシンを最高の状態にし、それを引き出すドライビングをするという、すべてを高いレベルで揃えなければならないと実感しました。
ロングランに関しては、レースを想定しながら走りましたが、感触は悪くありませんでした。レース中のペースに関しては自信を持つことができました。ただ、上位でフィニッシュするためには、やはり予選が重要ですので、課題はそこですね。ニュータイヤでのアタックをもう一段階、二段階、引き上げたいと思います。