2022 SFL第13,14,15戦モビリティリゾートもてぎ(8/20-21)レポート

Super Formula Lights

木村選手は初PPと3勝目、菅波選手は初表彰台を獲得
マスタークラスは今田選手がチャンピオンを決める

B-Max Racing Team(SFLチーム代表 組田龍司)は、8月20~21日、モビリティリゾートもてぎで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第13~15戦に参戦し、木村選手が初ポールポジションと3勝目、菅波選手も初の表彰台を獲得しました。
しかし、課題となっていた練習走行の速さを予選に繋げることにおいては前進したものの、決勝3レースを安定して上位で走り切るという点では課題を残しました。
接戦となっていたマスタークラスは、今田選手がDRAGON選手との一騎打ちを制し、最終大会を待たずにチャンピオンを決定しました。
今シーズンも残るは岡山大会の3レースのみです。シーズンの締めくくりを笑顔で終われるよう、チーム一丸となって臨みます。

■第13,14戦予選(8月20日(土)午前10時45分~30分間)
練習走行の速さを予選に繋げることが課題でしたが、今回は木村選手が3連勝中の小高選手を抑えて見事に第13戦のポールポジションを獲得しました。しかし、さらにタイムアップをしようしたアタック中に燃料系のトラブルが出てしまいダブルポールとはなりませんでした。
「タイヤのグリップを生かしきれなかった」という菅波選手は練習走行の速さを十分に発揮することはできませんでしたが、両レースともに2列目スタートを確保しました。

ドライバー 予選ベストタイム(順位) 予選セカンドベスト(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 1分44秒439(1/10) 1分45秒032(4/10) 1(46)
50号車 菅波冬悟 1分44秒806(4/10) 1分45秒003(3/10) 0(14)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:29度、路面温度:38度

■第13戦決勝(8月20日(土)午後4時35分~20周)
午後になって降り出した雨でコースは完全ウェット。雨のスタートに不安を抱えていた木村選手は出遅れ、菅波選手は競り合いの中で太田選手と接触してピットインするなど、オープニングラップから悪い展開になってしまいました。
それでも、木村選手は堅実な走りで4位をキープし、菅波選手はダメージを受けたホイール(タイヤ)を交換してレースに復帰。1つでもポジションを上げようと走り続けました。
終盤ペースの上がらない木村選手は5位に下がってしまいますが、残り2周となったところで前を行く平良選手と古谷選手が接触。平良選手はマシンを止め、古谷選手は3位フィニッシュするも10秒ペナルティで4位となり、木村選手が3位に繰り上がりました。
レースは小高選手が雨のなか独走で優勝しました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 3位 2分05秒374(4/10) 5(51)
50号車 菅波冬悟 7位 2分04秒924(3/10) 0(14)
  • 天候:雨、コース:ウェット、気温:28度、路面温度:28度

■第14戦決勝(8月21日(日)午前10時40分~14周)
抜群のスタートダッシュを見せた4番グリッドの木村選手は、一気に2位にまでポジションを上げますが、3コーナーで太田選手と接触。左リアタイヤがバーストしてしまい、ピットでレースを終えました。
菅波選手は、後方から攻め立てる小高選手を抑えつつ堅実に3位をキープ。小高選手を意識したことで、徐々に2位との差は広がってしまいましたが、念願の3位表彰台を獲得しました。
レースはスタートで太田選手をかわした平良選手が逃げ切って優勝しました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 DNF ———————- 0(51)
50号車 菅波冬悟 3位 1分46秒273(5/10) 5(19)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:28度、路面温度:32度

■第15戦決勝(8月21日(日)午後4時35分~14周)
第13戦の結果が予選グリッドとなり、木村選手3番グリッド、菅波選手は7番グリッドからのスタートとなりました。
今回も好ダッシュを見せた木村選手は、スタートで2位に上がると、勢いそのままに5コーナーでトップの小高選手に並び、前に出ることに成功。2周目以降は小高選手との差を僅かずつ開いていき、終盤11周目にはファステストラップもマークして3勝目のチェッカーを受けました。
菅波選手は縦に長くなる展開のなか、スタートで1つポジションを上げて6位フィニッシュ。貴重な1ポイントを獲得しました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
1号車 木村偉織 優勝 1分46秒148(1/10) 10+1(62)
50号車 菅波冬悟 6位 1分47秒139(8/10) 1(20)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:30度、路面温度:40度

■チーム監督 高木真一コメント
金曜日にセットアップの方向性についてチームでディスカッションし、良いクルマに仕上がったと思います。課題となっていた予選も、若干ミスやトラブルはありましたが、ようやく練習走行の速さを引き継ぐことができました。
1レース目は雨のなか、木村選手が生き残って表彰台に上がれたのは良かったと思いますが、菅波選手は接触してしまいました。木村選手も2レース目に接触がありましたが、接触は結果的に何のメリットもないので、相手がミスしても当たらないスペースを作るということ、どんな状況でも生き残るということを肝に銘じて欲しいと思います。
3レース目の木村選手は、その教訓を生かして、上手くマージンを持って抜くことができました。優勝という結果はもちろんですが、ファステストもしっかり取りましたし、抜き方も含め評価できるレースで、成長を感じさせてくれました。

■チーフエンジニア 宮田雅史コメント
本当にもったいないレースが多すぎます。練習の速さを予選に繋げるという点に関しては少し改善されましたが、速さはあるのにそれを生かしきれないという状態がずっと続いているという印象です。接触も多すぎます。今回のスーパーフォーミュラのようなバトルをしてほしいですね。雨のレースに関しては経験のなさが出てしまいました。優勝した小高選手との経験の差は大きかったですね。

■1号車ドライバー 木村偉織選手コメント
今回は絶対にポールを取るという気持ちで臨みました。ダブルポールを逃したことは悔しいですが、そう思えることは自分がレベルアップしている証拠だと思います。ただ、セカンドベストでトップを取れなかったこと、1レース目が雨になってしまったことで、流れが悪くなってしまったように思います。さらにドライになった2レース目も、接触でタイヤが切れてしまうという不運もあり、流れを引き戻すことはできませんでした。
そんな状況のなかでも、3レース目は自信を持ってレースを戦い、優勝できたことは大きな収穫でした。

■50号車ドライバー 菅波冬悟選手コメント
練習走行は好調で、すべてのセッションでトップ3に入ることができました。チームの課題だった予選も、1号車がポールを取りましたし、ワンツーを取れるポテンシャルはあったと思います。ただ、自分は4位と結果に結びつけられず、課題を残してしまいました。
1レース目は雨のなかスタートも決まりましたが、2番手争いのなかで接触をしてホイールが割れてしまい、3レース目のスタート順位を落とすことになってしまいました。あそこで手堅くいっていれば、3レース目で木村選手のようなチャンスがあったわけですから、そこはしっかり意識して戦わなければいけないと痛感しました。
速さだけでなく、結果に結びつけるための組み立てが最終大会に向けての課題と思います。シーズン最後となる岡山大会では3連勝を目指して頑張ります。

マスタークラス

■第13,14戦予選
予選前に4号車のエンジンが不調になり交換を余儀なくされたため、今田選手は予選に出走することができませんでした。思わぬ形で2ポイントを得ることになったDRAGON選手は、ベスト、セカンドタイムをほぼ同タイムに揃えました。ただ、今回若手のターゲットとなる平木兄弟が体調不良で不参加となり、若手最後尾の川合選手から2.3秒遅れと若干差をつけられてしまいました。

ドライバー 予選ベストタイム(順位) 予選セカンドベスト(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 ———————- ———————- 0(110)
30号車 DRAGON 1分47秒829(M1) 1分47秒939(M1) 1+1(99)

■第13戦決勝
ウェットレースとなった決勝では、1周目に今田選手が前に出ますが、5コーナーでオーバーラン。クラストップの座をDRAGON選手に明け渡すと、以降は経験に勝るDRAGON選手が2分8秒台のタイムを刻み続け差を広げていきました。
「序盤は走り方をウェットに合わせることができなかった」という今田選手は、徐々にラップタイムを上げましたが、途中何度かミスも犯し、終盤にマークしたベストタイムではDRAGON選手を上回ったものの、レースは安定性に勝るDRAGON選手の完勝でした。
ラストラップに上位グループで接触があり1台がリタイアしたため、DRAGON選手は今シーズン初の総合6位となり、総合でもポイントを獲得しました。この結果、両者のポイント差はさらに縮まって9ポイントになりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M2位(総合8位) 2分07秒882(M1) 7+1(118)
30号車 DRAGON M1位(総合6位) 2分08秒016(M2) 10(109)

■第14戦決勝
ニュータイヤを履いた今田選手がそのメリットを生かして、DRAGON選手を攻め立て、3周目の90度コーナーで先行すると、以降は1分48秒台をマークして、毎ラップ差を開いていきました。一方、ユーズドタイヤを履くDRAGON選手は、ブレーキバランスの設定をミスしたこともあって思うようにペースを上げられず、我慢のレースを強いられることになってしまいました。
両者の差は、4周目2.6秒、6周目5.2秒、8周目7.0秒、10周目8.9と確実に開いていきそのままフィニッシュを迎えました。
今田選手は、ベストラップのポイントも加え、予選と第13戦で縮められた4ポイントを取り戻すことに成功。再び両者のポイント差は13に広がりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合7位) 1分48秒210(M1) 10+1(129)
30号車 DRAGON M2位(総合8位) 1分49秒277(M2) 7(116)

■第15戦決勝
このレースでチャンピオンを決めたい今田選手と、それを阻止したいDRAGON選手の意地と意地がぶつかり合う激しいレースとなりました。
1周目からDRAGON選手に迫った今田選手は、各コーナーで背後からプレッシャーをかけ続けますが、DRAGON選手の巧みなライン取りに、なかなか抜くチャンスを見いだせないままレースは進んでいきました。
そして迎えた10周目、ついにS字コーナーで今田選手が前に出ますが、DRAGON選手も引かずに90度コーナーで並走し再逆転を試みます。しかし、その先のビクトリーコーナーで両者は接触。グラベルにはまったDRAGON選手はその場でリタイア。激戦を制した今田選手がクラス優勝を飾るとともに、シリーズ有効ポイントでDORAGON選手に23ポイント差をつけたことで、最終大会での逆転の可能性はなくなり、昨年に続いてマスタークラスチャンピオンを手中に収めました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計/有効)
4号車 今田信宏 M1位(総合9位) 1分48秒860(M1) 10+1(140/139)
30号車 DRAGON DNF 1分49秒373(M2) 0(116/116)
  • 有効ポイントは開催レース数の80%(14戦)の合計

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
1レース目は、突然の雨に対するドライバーのアジャスト能力に課題を感じました。特にこのコース特有の走り方に、DRAGON選手の方が上手く対応していました。
ドライの3レース目は、後半に入りこちらのペースが良くなってからもずっと攻めあぐねていました。一旦抜いたあとの90度コーナーは少し差があったので来ないだろうと思っていたら、飛び込んできてオーバーテイクされ、最後は接触という結末になってしまいました。
マスタードライバーにとっての最速マシンでのチャンピオンはもちろん嬉しいです。良く台数が少ないと言われますが、台数が多くてもバトルするのは1人か2人です。DRAGON選手は相手としては強敵すぎましたね。勝負を堪能させていただきました(笑)。
僕はコーチを付けて戦っていますが、その存在は大きいですね。DRAGON選手は、限界性能や速度差が大きく、乗り方もまったく異なるFIA-F4にも参戦していますが、僕と同じようにSFライツに絞り、同じ条件で戦っていたら、もっと厳しい戦いになっていたと思います。

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
この週末はクルマを決めきれなかったということがすべてです。雨のレースは技で勝ちましたが、クルマのポテンシャルとしては4号車と次元が違うレベルでした。
最後のレースは、タイヤの条件も一緒でしたので勝つつもりで臨みましたが、今田選手のペースが良く、途中から抑えきれないと感じていました。このままだといつか当たるだろうと思っていましたが、案の定そういう結果になりました。
でも、同世代の今田選手と意地の張り合いのレースをし、どちらが勝つかは別にして、気持ちの良い汗をかき、嬉しい悔しいという気持ちが味わえるのは幸せです。まだ岡山戦が残っていますが、今年に関しては今田選手が自分より速かった。そういうことです。




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