2023 SFL第16,17,18戦モビリティリゾートもてぎ(11/18-19)レポート

Super Formula Lights

木村選手が逆転でチャンピオンに輝く
チーム、マスタークラスも制しトリプルタイトルを獲得

B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表 組田龍司)は、11月18~19日、モビリティリゾートもてぎで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第16~18戦に参戦し、木村偉織選手が逆転でチャンピオンに輝きました。マスタークラスの今田信宏選手も3年連続チャンピオンとなり、チームタイトルと合わせ、4年ぶりのトリプルタイトル獲得という、最高の結果で2023年シーズンを締めくくりました。

■第16,17戦予選(11月18日(土)午前9時25分~9時55分)
前日の雨も上がり、晴れ渡った予選日。逆転でドライバーズタイトルを狙う木村選手はミスが許されないだけに、いつも以上に集中して予選に臨みました。
第16戦の予選は、木村選手が2度目のアタックで全区間ベストタイムという完璧なラップを見せ、ポールポジションを獲得。スポット参戦の菅波選手が3位、フラガ選手が4位とチームとしても好結果で終えました。
第17戦の予選でも、木村選手は勢いそのままに最初のアタックで1分43秒386をマークしてトップに立つと、2回目には更にタイムを縮めてライバル勢を突き放しました。フラガ選手は2位、菅波選手は4位と、揃って上位グリッドを確保しました。
ダブルポールポジションを獲得し2pを加えたことで、木村選手は10pあった平良選手との差を8pにし、逆転チャンピオンに向け反撃の狼煙を上げました。
なお、ヴィダーレス選手は、電気系のトラブルで出走できませんでした。

ドライバー Rd16予選タイム(順位) Rd17予選タイム(順位) Point(累計)
50号車 木村偉織 1分43秒285( 1) 1分43秒277( 1) 1+1(84)
51号車 D.ヴィダーレス —————– —————– 0(19)
52号車 I.O.フラガ 1分43秒917( 4) 1分43秒457( 2) 0(47)
53号車 菅波冬悟 1分43秒916( 3) 1分43秒568( 4) 0(21)
  • 天候:晴れ、コース:ハーフウェット(Rd16)/ドライ(Rd17)、気温:13度、路面温度:16度

■第16戦決勝(11月18日(土)午後1時45分~14周)
ポールポジションの木村選手は、トップを守ったまま1コーナーへ。菅波選手が小出選手をかわして2位、フラガ選手も1周目に3位に上がり、早くもチームでワン・ツー・スリー態勢を築きました。
トップを快走する木村選手は、序盤からハイペースを維持し、6周目にはレースのファステストラップとなる1分44秒823をマーク。2位菅波選手との差を4秒まで広げると、以降はタイヤを温存するためにペースを若干落として周回を重ねました。
縦に長い展開となったレースは、結局そのままの順位でフィニッシュ。チームとしては初の表彰台独占という最高の結果に加え、木村選手は優勝10pとファステストラップの1pを加え、ポイントリーダーの平良選手に並びました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
50号車 木村偉織 1位 1分44秒823( 1/11) 10+1(95)
51号車 D.ヴィダーレス DNS —————– 0(19)
52号車 I.O.フラガ 3位 1分45秒354( 2/11) 5(52)
53号車 菅波冬悟 2位 1分45秒376( 3/11) 7(28)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:16度、路面温度:20度

■第17戦決勝(11月19日(日)午前8時55分~20周)
シーズン最後となる日曜日も絶好のレース日和となりました。
木村選手は、ポールポジションから好スタートを切り、フラガ選手、小出選手、そしてタイトルを争う平良選手を従えて1周目を終えました。菅波選手はスタート後の競り合いのなかでコースオフを喫し、順位を大きく落としてしまいました。
トップを快走する木村選手は、1分44秒台のハイペースを安定して刻み、折返しの10周目までに2位フラガ選手との差を4秒にまで開きますが、その後も手を緩めることなくプッシュし続け、20周を走り切って第16戦に続く連勝を飾りました。
レースでは上位陣に順位変動はありませんでしたが、4位フィニッシュの平良選手に走路外走行のペナルティ(+5秒)が課されて5位となりました。この結果、シリーズポイントは木村選手が逆転し106p、平良選手97pとなり、最終戦で決着することとなりました。
この勝利で、現シリーズの前身である、2019年全日本F3選手権以来のB-Max Racing Teamのチーム部門タイトル獲得が決まりました。
ヴィダーレス選手は、車両のパーツが調達できずに、この日の出走を取り消しました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
50号車 木村偉織 1位 1分44秒609( 1/11) 10+1(106)
52号車 I.O.フラガ 2位 1分45秒030( 4/11) 7( 59)
53号車 菅波冬悟 11位 1分46秒555( 7/11) 0( 28)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:12度、路面温度:14度

■第18戦決勝(11月19日(日)午後1時00分~14周)
午後になり気温が上がるなか、今シーズン最後のスタートを迎えました。
見事なスタートダッシュを見せたのは2番グリッドの菅波選手。このレースのために状態の良いタイヤを残していた菅波選手は、1コーナーで木村選手をかわしトップに躍り出ました。チャンピオンを視野に入れている木村選手も、あえてリスクを冒すことはせずに、菅波選手の背後につけました。
トップを快走する菅波選手は、1分45秒台を連発しながら木村選手を少しずつ引き離し、レース折返しの7周目には2秒以上のマージンを築きました。木村選手の1秒後方に平良選手、4秒離れてフラガ選手を古谷選手が追うという展開になりました。
レースは膠着状態のまま後半に入りますが、菅波選手は10周目にファステストを記録する快走を続け、狙いどおりの展開で今季2勝目を飾りました。そして、菅波選手の2秒後に、木村選手がチャンピオン決定という歓喜のチェッカーを受けました。
この結果、チームとして、最終大会の3レースはすべてワンツーフィニッシュ。特に1レース目は表彰台独占、そして、ドライバー、チーム、マスターのタイトルをすべて獲得するという最高の結果でシーズンを締めくくりました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
50号車 木村偉織 2位 1分44秒835( 2/11) 7(113)
52号車 I.O.フラガ 4位 1分46秒317( 5/11) 3( 62)
53号車 菅波冬悟 1位 1分45秒757( 1/11) 10+1( 39)
  • 天候:晴れ、コース:ドライ、気温:18度、路面温度:27度

■SFLチーム代表 組田龍司コメント
ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)の育成ドライバーを預かるようになって2年目ですが、今シーズンは是が非でも結果を残さなければならないという使命感を持って臨みました。ドライバーの木村選手も背水の陣で臨んだシーズンでしたので、チームとしてできることはすべてやろうという思いでした。
ドライバー部門、チーム部門、マスタークラスのタイトルを獲得する“トリプルクラウン”は、2019年の全日本F3選手権以来4年ぶり、スーパーフォーミュラ・ライツ選手権になってからは初めてのことです。エンジンチュナー部門はうちのチームの力だけではありませんが、これもスピースが制し、本当にこれ以上ない結果ですので、感無量です。

■50,51号車チーム監督 高木真一コメント
専有走行は金曜日が雨予報でしたので、木曜にテストメニューを詰め込む形になりましたが、走り始めからポテンシャルの高さを感じることができました。偉織選手にとって、専有走行が実質1日になったことは有利に働いたように思います。
でも、それを抜きにしても今週末の偉織選手の速さは際立っていたように思います。完全勝利を飾った開幕大会に近い雰囲気がありました。課題となっていた予選での速さもしっかり示すことができましたし、タイトルのかかるプレッシャーのなかでスタートもうまく決めることができました。パーフェクトな最終大会だったと思います。
タイトルは1人にしか与えられないものですし、チャンピオンの称号を持つか持たないかは、この先大きな違いとなりますから、来シーズンは心置きなくステップアップしてくれることを願っています。偉織選手にとって人生を変えた最終大会だったと思いますし、監督を務めた身としても、2年間の成長を目の当たりにでき幸せでした。

■52号車チーム監督 松浦孝亮コメント
木曜日の専有走行が非常に良かったので、この勢いでいけると思っていましたが、金曜日の雨で路面の状況が変わってしまったことがマイナスに働いてしまったようです。
ただ、そのなかでもイゴール選手は持てる力を発揮し、岡山大会に続いて速さを示すことができたと思います。シリーズ終盤の速さを、もっと早い段階で発揮することができていたら、面白いシーズンになったと思います。でも、イゴール選手の可能性を十分に感じることができた1年でした。

■50号車ドライバー 木村偉織選手コメント
6歳で始めたカート時代から数多くのレースに出て優勝はしてきましたが、実はチャンピオンは獲ったことがなく、それが自分としてはコンプレックスでした。最高の形で殻を突き破ることができて本当に嬉しいです。
この週末、チャンピオンのことはできるだけ意識しないようにしていました。自分自身でやれることはすべてやり切って臨んだ最終大会でしたので、緊張するというより集中することができていたと思います。とにかくシンプルにポールを2つ獲って3連勝しようと、それだけを考えていました。
2年目の今年はチャンピオン獲得が使命でしたので、ファクトリーの近くに住まいを移すなど環境を変え、私生活でも日々のトレーニングや食事などで自分を律してきました。それだけに、最後のチェッカーを受け、チャンピオンが決まった瞬間は、サポートしていただいた人の顔が浮かんで涙が出てきました。年末までは自分に課した制限を少しだけ解放して、また来年に向け精進しようと思います。

■52号車ドライバー イゴール・オオムラ・フラガ選手コメント
今シーズンは、参戦が決まったのが開幕直前で慌ただしかったのに加えて、事前のテスト走行も雨に見舞われるなど走り込みが十分にできないまま開幕を迎えました。序盤の数戦はほとんどぶっつけ本番でしたが、逆にそれが他の選手との差を生まずに、自分にとっては有利に働いて予選でも好位置につけることができました。
シリーズ中盤、各車のセットアップが進むと徐々に遅れを取るようになってしまったので、前大会の岡山から体制を強化しました。専有走行も天候に恵まれ十分走り込みができたので、岡山では3レースともに表彰台、今回も2レースで表彰台を得ることができました。できれば優勝がほしかったですが、終盤2大会は大きな進歩を遂げることができたと思います。

■53号車ドライバー 菅波冬悟選手コメント
最終戦で優勝することができて、本当に嬉しいです。
SFライツへの参戦は、昨年1シーズンだけのチャレンジのつもりでしたが、結果が振るわずに終わってしまいました。今年も何とか参戦したいと組田代表に相談をして、今田選手にも快諾をいただき鈴鹿で参戦することができました。天候による運もありましたが、そこで優勝と2位を獲得して、次の富士大会での参戦に繋がりました。富士ではトムス勢にやられてしまいましたが、最終大会でまたチャンスをいただけることになりました。
今回は、関口雄飛選手にアドバイザーとしてついてもらい、内間エンジニアとのコミュニケーションも良く、すべてが上手くハマったという感じです。
昨シーズンは結果が出せなくて、自信を失いかけていたことも含めて、上手く噛み合っていない状態でした。それが、今年は巡ってきたチャンスのなかで、実力どおりの結果しか出ないのだからと、気負わずにいけたことが良かったと思います。自分の実力をいかに底上げするかを考えて、小さなことを積み上げる努力をしましたし、他のカテゴリーで自分の速さを再認識することができ自信も取り戻すことができました。
組田代表をはじめ、多くの方の協力で結果を残すことができ、感謝しています。

マスタークラス

■第16,17戦予選
最終大会前のシリーズポイントは、今田選手が116p、DRAGON選手が105pと11点差。エントリー台数の少ないマスタークラスではこの差を逆転するのは至難の業という状況のなか、2人は予選に臨みました。
第16戦予選では、今田選手がウォームアップを1周、DRAGON選手は2周の後にアタックをするという異なる作戦を取った二人でしたが、3周連続のアタックで1分46秒017までタイムアップした今田選手に軍配が上がりました。
第17戦予選も、両者は同様のアタック方法を取りましたが、セッティングを変えて1分45秒台にタイムアップした今田選手が、DRAGON選手を抑えてクラスポールポジションを獲得しました。

ドライバー Rd16予選タイム(順位) Rd17予選タイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 1分46秒017(M1) 1分45秒356(M1) 1+1(118)
30号車 DRAGON 1分46秒476(M2) 1分46秒300(M2) 0(105)

■第16戦決勝
スタートを決めた今田選手が、1分47秒台のラップタイムを刻んでDRAGON選手を引き離そうと試みますが、DRAGON選手も食い下がり、その差は5周目で約2秒。ところが、6〜7周目に、スタートで遅れ最後尾から追い上げてきた若手の小川選手を挟んだことで、両者の差は開くことになり、終盤は今田選手がマージンを築いてゴールしました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合10位) 1分47秒268(M1) 10+1(129)
30号車 DRAGON M2位(総合11位) 1分47秒887(M2) 7(112)

■第17戦決勝
タイトル争いでは、今田選手にリードを広げられたDRAGON選手ですが、スタートから7周目までは今田選手から1秒以内につけ、プレッシャーをかけ続けます。
しかし、8周目以降はタイヤが厳しくなり、1分46秒から47秒台のラップタイムを刻む今田選手に対し、DRAGON選手は47秒から48秒台へと徐々にタイムが落ち込み、15周目にはその差は5秒にまで広がりました。
安定した走りを見せる今田選手は、そのまま逃げ切ってクラス優勝。シリーズポイントを140pに伸ばし、この時点でDRAGON 選手が逆転する可能性は消え、今田選手の3年連続チャンピオンが決定しました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合9位) 1分46秒915(M1) 10+1(140)
30号車 DRAGON M2位(総合10位) 1分47秒086(M2) 7(119)

■第18戦決勝
三タテは食らうまいと、スタートから先行する今田選手に食い下がるDRAGON選手でしたが、今田選手もチャンピオンらしくミスのない走りで、つけ入る隙を与えることなくレースは進みました。
1分48秒台前半のラップタイムで安定して走る今田選手は、終盤になってもペースを落とすことなく、フルプッシュしたままチェッカーを受け、最終大会を3連勝という最高の形で終えました。
前に出るチャンスを見いだせなかったDRAGON選手は、最後は根負けしたようにやや引き離されてフィニッシュ。一矢報いることはできませんでしたが、ファステストラップを僅差で奪い、意地を見せました。

ドライバー 決勝順位 ベストタイム(順位) Point(累計)
4号車 今田信宏 M1位(総合10位) 1分47秒983(M2) 10(150)
30号車 DRAGON M2位(総合11位) 1分47秒915(M1) 7+1(127)

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント
今シーズン序盤は、体力的にもかなりしんどかったです。特に暑いときのレースは倒れるかと思うほどでした。コースにもよりますが、SFライツはオジサンにはかなり厳しいカテゴリーであることは間違いないと思います。
タイトル争いは、最終大会までDRAGON 選手と2勝1敗のペースだったにもかかわらず、ファステストラップのポイントを奪われたりして、ポイント差はあまりついていなかったですね。シーズン前はもっと楽勝かなと思っていましたが、蓋を開けてみると最後までもつれてしまい、その意味でもしんどかったですね。
来年は、ジェントルマンの参戦台数が増えるなら、引き続きやりたいと思っています。そのために、シーズンオフの間に身体のケアをしっかりして備えたいと思います。

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント
今シーズンも、畑選手のスポット参戦はありましたが、ほとんどが今田選手との2台によるレースで、お互いに勝ったり負けたりがあって楽しむことができました。最終大会は自分なりに精一杯やりましたし、仕掛けるチャンスはあったとは思いますが、そこを巧みに今田選手に抑えられてしまいました。勝った今田選手が速かった、それに尽きると思います。素直に完敗です。



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